~介護と医療と福祉の連携で実現する、透析患者様が笑顔になれるケア~
介護透析とは
透析患者様の高齢化
現状の日本は透析導入の平均年齢が70歳を超えており、介護を必要とする透析患者様が多くなっています。
「週に3回、1日4時間」の通院治療が負担であったり、自宅での生活自体が困難な方が増えてきています。それに対し「透析の方を受け入れる介護施設が少ない」という現状があります。

医療と介護の垣根をなくす
自靖会が運営する介護老人保健施設めぐみは入所者の約50%が透析患者様です。
透析が必要な方のケアには身の回りの介助のほか、医療的に特別な管理が必要になります。
・水分管理 ・食事管理 ・シャント管理 ・感染対策 ・身体介助 ・精神的サポート
そこで、入所透析を「介護」の側面から更に発展させたのが、自靖会の提供する介護透析なのです。
入所者様の「笑顔を増やす」「人生を楽しむ」には何が必要かを念頭に、医療と介護の垣根をなくし、より質の高いケアを提供することを理念としています。
そのため、勉強会や症例発表会を積極的に行なっています。これまでの経験や技術から最新の情報を全体で共有しています。
医師や看護師、管理栄養士に留まらず、リハビリ専門職や介護職員、事務職員、送迎車運転士までも一丸となって多職種連携を実現させています。
私たちは「本人の尊厳を大切にする介護」を目指し、透析患者様の「生きる喜びを実感していただく」「1日を通した生活の質を向上させる」ことを目標に活動しています。
本人のみならず、ご家族にも「任せて安心」な介護透析グループを目指しています。
腎臓を守る
井口グループのネットワーク
私たち医療法人社団自靖会には「腎臓を守る」という法人の使命があります。
ここ東小松川を中心に江戸川区、足立区、葛飾区にまたがって「患者様に寄り添った」信頼され医療と介護、そして福祉サービスを提供しています。
中でも江戸川区にある井口腎泌尿器科・内科 親水では、介護老人保健施設めぐみを併設し、【医療と介護の一体化】を図り、包括的で質の高いケアを目指しています。
現状とアプローチ
1:ひとつ屋根の下に透析と介護が手を取り合っている

私たち自靖会は、透析センターを有する内科のクリニックと、腎臓泌尿器科内科、整形外科、血管外科と、介護老人保健施設がひとつの建物に併設した施設を運営しています。
そのため、透析を受ける患者様が介護が必要になった時には、医療と介護のスタッフが連携し、より細やかなケアを提供することが可能になっています。
血液透析に関しては、主な治療は高齢者の方も安心なI-HDFです。また、オンラインHDFも可能です。
自靖会には20年以上この江戸川区で培った経験と知識があります。その専門的なスタッフ一同でチームを組み、介護が必要な透析患者様が、安全かつ快適に過ごせる毎日を提供することを目標としています。
2:施設とサービスの充実

入所透析では、入院治療できる有床クリニックと同じ建物内に、外来・入所透析専用として35床対応の透析ベッドを準備しております。
専門スタッフによる腎臓リハビリテーションへも注力しております。
透析者の方へは透析中でも筋力増強、非透析日はパワーリハビリテーションをはじめとして集団でのサークル体操等を積極的に取り組んでいます。
言語聴覚療法では言語聴覚士による、上手く話せない、言葉が出てこない等中心に、認知症・高次機能障害の方へのリハビリを行い、機能の維持・改善に取り組んでいます。
また、飲みにくいなどの嚥下障害者の方へは、協力医療機関とで口腔ケアーへも力を入れております。
入所透析を受ける事で単に透析ができる施設だけでなく、生活の中での合併症の予防や持てる機能の維持・改善を行い可能な限り自宅生活を取り戻せる状態にしてさしあげることを目指しております。
介護と医療を密接に繋ぎ関連を強化することで、併設施設での入所生活及び透析センターでの完備された治療環境は利用者様を含めてご家族の方にも、より高い安心を提供できると考えております。
3:リハビリ体制
老健めぐみにはリハビリテーションの各資格を持った専門家が居ます。
各セクションが連携することでより質の高いケアを提供しています。

・理学療法士
基本動作能力(寝返る、起きる、立ち上がる、歩く等)を中心に、評価・訓練を行う。
寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなどの日常生活を行う上で基本となる動作の改善を目指します。
関節可動域の拡大、筋力強化、麻痺の回復、痛みの軽減など運動機能に直接働きかける治療法から、動作練習、歩行練習などの能力向上を目指す治療法まで、動作改善に必要な技術を用いて、日常生活の自立を目指します。
・作業療法士
日常生活動作(食事、排泄、入浴、更衣、家事動作等)を中心に、評価・訓練を行う。
作業療法士とは、心身に障害を持つ方に対して、「こころ」と「からだ」のリハビリテーションを行う専門職です。
着替えやトイレなどのセルフケアから、家事や仕事、趣味まで日常のあらゆる活動を通じてリハビリを行う「作業療法」を通して、患者様が、その人らしくイキイキと自立した生活を送れるようサポートします。
具体的には、食事や入浴、料理など、日常生活に必要な応用的動作の訓練を行うほか、社会参加・復帰を目的とした精神面のケアなどを行います。
・言語聴覚士
言語機能(話す、聴く、理解する等)、嚥下機能(咬む、飲み込む等)を中心に、評価・訓練を行う。
言語聴覚士は、「話す」「聞く」「食べる(安全に飲み込む)」ことにお困りの方に対して、その問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査や評価を実施し、必要に応じて訓練、指導、助言、その他の援助を行います。
リハビリ3職種が揃っていることで、様々な症状に対応できるとともにひとりひとりの利用者様に、それぞれの専門的な視点から協働してプログラムを立案しています。
4:具体的な取り組み
①食事メニューと水分管理
腎臓は尿を作る臓器です。身体の水分量を調整し、老廃物を濾しています。
透析をされている利用者様は、腎臓の機能が落ちていますので、水分や栄養の管理が非常に重要になってきます。
本来であれば尿と一緒に出ていく水分や物質が、取り込んだら取り込んだだけ溜まってしまうのです。
水分が体に溜まるとむくみ、息苦しさ、場合によっては心不全を起こすことが考えられます。
毒素を出すのも腎臓の役割です。普通は問題にならない食べ物に含まれる成分が悪影響を及ぼすことがあります。
例えば生野菜と果物に含まれるカリウムです。心臓の動きに影響を与えてしまうこともあります。
そのため透析の方だけ食事のメニューを変える必要もあります。
医療を担う透析センターと、介護を担う老人保健施設が食事の内容や体重などの情報を共有し、医師の指示のもと管理栄養士を中心に一人一人に合わせたメニュー作りやケアを実践しています。
②腎臓リハビリ

腎臓リハビリとは
腎臓リハビリテーションは、運動・食事などを通して、腎臓病の患者様の「生活の質向上」を改善させる試みです。
以前は透析患者様は筋力トレーニングしてはいけないと言われていました。
しかし最近の研究では、体力を上げることで症状の緩和や生活の質の向上が見込まれています。
当法人では、適正な運動の評価やプログラムの作成は専門職である理学療法士が携わっています。
腎臓リハビリテーションの内容
人工透析を受けている方に対し、筋力訓練・有酸素訓練を中心とした訓練を実施します。
※透析利用者様の諸症状を十分に検証し、生活能力維持向上を目標として身体面・精神面から支援します。
腎臓リハビリの流れ
透析開始後約1時間経過後
・バイタル測定
・有酸素訓練:エルゴメーター等を使用し15~20分実施。
・筋力訓練:ゴムバンドを用いて下肢を中心に運動を実施。
・バイタル測定
③トランスファー
介護用語としての「トランスファー」は「移動・移乗」という意味です。
透析センターへ移動する際、ベッドから車椅子へ、車椅子から透析ベッドへ移動する必要があります。
また、送迎で通所される方も同様にスムーズで安全な移乗が必要となります。
透析をする前には、体重を測り、安全にベッドに移っていただく必要があります。
透析後も、出血に気を配りながらベッドからの移乗や送迎車までの移動は、スタッフが連携して行います。
その為、自分で歩けない方や動けない方でも安心して利用していただけます。
④シャント管理
シャント管理や手術ができるオペ室が、グループ内でも江戸川区(親水)と足立区(北綾瀬)に2室備えています。
治療中に血管が狭くなった際に、血管を広げる「経皮的血管拡張術PTA(Percutaneous Transluminal Angioplasty )」も実施しています。
手術室がないとできない処置ですので、一般的な透析クリニックでは設備の整った他の医療機関を受診してもらうことになりますが、当施設では手術も含めて対応することができます。
他施設に移って処置する手間が省け、利用者様の安心にも繋がります。
2024年手術実績(1~12月)
シャントオペの実績 17件
PTAの実績 56件
⑤情報の共有
日々カンファレンスで最新の情報を共有していることは勿論の事、学会、症例発表会への参加。井口グループ主催で合同勉強会を開催し、クリニックや介護施設の、医師や看護師、介護士などの役職や役割を超えて精進しています。

楽しく暮らす
ご本人様の「尊厳を守る」事が介護では重要です。
そして「命を守る」事が医療の目的です。
時に介護と医療では優先する内容が異なることがあります。
私たちが提供する「介護透析」では、その両方をバランスよく取り入れて、ご本人様が【楽しく暮らす】をモットーに、大切なご家族を任せていただける透析を目指しています。
